お金を借りる前に知っておきたいこと

2003年6月14日未明、大阪府八尾市で家族3人が電車への投身自殺する心中事件が発生した。主婦は自殺する直前に、闇金融による法外な利子と執拗な取り立てを苦にしていたことを書いた遺書を残していた。

貸金業法の改正

近年、手軽に利用できるクレジットカードやカードローンで、返済しきれないほどの借金を抱えてしまう「多重債務者」の増加が深刻な社会問題となっていました。とりわけ2000年頃から2003年の間に違法な貸付業者、いわゆる闇金融が爆発的に増加し、安易な借入から借金地獄に陥った人が瞬く間に膨れ上がりました。

そんな中、冒頭の一家のような不幸が契機となり、それまでの貸金業法の見直しを行う機運が生まれたとされています。 貸金業法の改正は、この「多重債務問題」を解決することを目的として、従来の法律を抜本的に改正し、新しい貸金業法として施行されることとなりました。

改正のポイント

①お金の借り過ぎ・貸し過ぎの防止

  • 借入の残高(※)が年収の3分の1を超える場合、新規での借入契約ができなくなりました。
    (※借入の残高とは、全ての消費者金融からの借入総額となります。)
  • お金を借りる際には、基本的に収入証明(※)が必要となりました。
    (※収入証明とは、年収を証明する書類となります。源泉徴収票、納税証明書など)

②条件金利の引き下げ

  • お金を借りる際に支払う金利が改正前までの29.2%(法定利息)から、借入の金額に応じて15%~20%までに制限されることになりました。
  • いわゆるグレーゾーン金利(※)が解消され、貸金業法に規定された上記利息を超える利息を事業者が受け取っていた場合は、超過分は全て無効となりました。
    (※利息制限法の規定20%と出資法の規定29.2%、利息制限法は刑事罰が課されないため、事業者は出資法の規定された上限金利を受け取っていた)

③資金業者に対する規制の強化

  • 貸金業者側に法令遵守を徹底させるため、その助言・指導を行う資格(※)のある人を営業所に置くことが必要になりました。
    (※貸金業務取扱主任者)

総量規制

総量規制とは、借りることのできる額の総額に制限を設ける、新しい規制のことであり、改正貸金業法においても大きなポイントです。
従来の貸付は事業者側が任意に設定することができ、多重債務者が生じやすくなっていたことから、そもそもの借り入れをできる額に制限を課すことになりました。

なお、総量規制の対象となるのは、以下の借り入れに限定されます。

  • 貸付の契約種別が「個人向け貸付け」の場合
  • ノンバンクの消費者金融会社からの借り入れ(※銀行カードローンは銀行法適用のため対象外)

総量規制の除外

以下の場合は、総量規制から除外されます。

  • 不動産関連の借り入れ(住宅ローンなど)
  • 自動車購入時の自動車担保貸付け(自動車ローンなど)
  • 高額療養費の貸付け
  • 担保貸付(有価証券担保貸付け、不動産担保貸付け)
  • 売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け
  • 融通手形を除く、手形の割引
  • 金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け
  • 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介

総量規制の例外

以下の場合は、総量規制の例外とされます。

  • お金を借りた側が一方的有利となる借換え(おまとめローンなど)
  • 緊急を要する医療費の貸付け
  • 社会通念上、緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
  • 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け(配偶者貸付)
  • 個人事業者に対する貸付け(事業用資金としての借り入れ)
  • 預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け

信用情報機関

信用情報機関とは、信用情報機関(JICC、CIC、全銀協など)に加盟する金融事業者が、顧客の信用情報(借り入れの申込や、利用歴など)を管理・提供することで、消費者と加盟会社の健全な信用取引を支える機関です。
つまり、債務者の借入返済情報を共有することで、借り入れる側と貸し出す側の双方とも不正ができないようにすることが目的です。

信用情報機関は、金融会社の健全な発展を支える社会インフラとしての役割を担っていると言えるかもしれません。

保存情報と保存期間

主な保存情報と保存期間については次のようになります。

種別 項目 期間
個人を識別するための情報 氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先、勤務先電話番号、運転免許証等の記号番号等 契約内容に関する情報等が登録されている期間
契約内容に関する情報 登録会員名、契約の種類、契約日、貸付日、契約金額、貸付金額、保証額等 契約継続中及び完済日から5年間以内
返済状況に関する情報 入金日、入金予定日、借入残高、完済日、延滞等 契約継続中及び完済日から5年間以内(※1)
取引事実に関する情報 債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等 当該事実の発生日から5年間以内(※2)
申込みに関する情報 照会日、商品名、契約予定額、支払予定回数、照会会社名等 申込日から6ヵ月間以内
利用した事実に関する情報 利用日、利用目的、利用会社名等 申込日から6ヵ月間以内

(※1:ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間)
(※2:ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間)

信用情報と貸出審査

金融事業者は、消費者から借入の申し込みがあった場合には、必ず信用情報機関に申込者の信用情報の照会を行います。借入の申込をした消費者に「信用」を供与する際の判断材料の一つとして、信用情報機関の個人の信用情報を参考にしています。お金を借りる消費者にとって無理のない契約かどうか、支払能力はあるかどうかなどを判断することによって、適正なキャッシングローン取引が可能となります。

消費者金融会社で行う審査は、本人の申告情報と提出書類、そして照会を行った信用情報を基に行われます。事業者の貸出基準に適合した場合には融資枠の設定及び貸し出しを、不適合である場合には貸し出し不可の旨、申込者に通知します。

キャッシングとカードローンの種類・種別

銀行が行う個人向けローンについては、銀行法が適用されます。
ノンバンク系の消費者金融会社が行う個人向け融資は、貸金業法が適用されます。
このため、銀行のカードローンは総量規制の対象外となります。

お金を借りるキャッシング・カードローンの比較はこちら。

主なカードローン

みずほ銀行や三井住友銀行といったメガバンクを始め、静岡銀行や横浜銀行などの地銀や楽天銀行やソニー銀行など無店舗銀行まで多数の銀行で取り扱っています。
消費者金融のキャッシングに比べて利息が安いことが多い反面、審査は厳しくなります。

主なキャッシング

アイフルやアコムなど、一般的な消費者金融会社が該当します。なお、プロミス、モビットなど銀行グループが運営している消費者金融であっても、これらは銀行のカードローンには分類されませんので注意が必要です。
銀行カードローンに比べて審査が緩いなどの話がありますが、そのようなことはなく、総量規制の対象外となりますので、むしろ審査基準は厳しいと言えます。